また変な言葉が

先日 朝の情報番組をながめていたら とある事件の説明で「匿名化ソフト」という言葉が出てきた
事件の内容については特に興味がなかったのだが その言葉が気になったのでよく見てみた……

その匿名化ソフトなるものはプロキシサーバーのことを言っているらしい

悪意のある書き込みを行った人物を特定したくても「匿名化ソフト」を利用して海外の複数の地点を経由しているために難しいと説明していたのだが これって海外ドラマのクリミナル・マインドやCSI:サイバーとかでよく出てくる「海外の複数のプロキシサーバーを経由しているから〜〜」といった表現を無理に日本語化したのだろう

いや……匿名化ソフトじゃむしろ分かり難いと思うのだが……

というかプロキシサーバー(またはプロクシサーバーとか略語で「串」とか)の原理を説明しだしたらニュース報道程度の時間じゃ足りないから分かりやすくしたつもりかもしれないが プロキシサーバーの動作とか そもそもインターネットがDNSによってつながってる仕組みとかが 今回のような話題にテレビで初めて触れるような人に理解できるとは思えないのだから 誤解を生みそうな「匿名化ソフト」みたいな名前をつけるのは良くないと思う
普通に「プロキシサーバー」という表現を使っておけば興味を持った人はネットで詳しく調べるだろうし そうでもない人はスルーするだろう

思えばその昔 Windows95が発売されたときにOS(オーエス:オペレーティングシステム)をいう本来の名称を使わずにマスコミは「基本ソフト」なんて珍妙な呼び名を付けてしまった
OSが無いとコンピュータは動かせないのだから基本ソフトという表現も間違いではないのだが コンピュータに詳しい人も よくわからない人のどちらにもピンとこなかった言葉だったと思う……残念ながら今でも使われているが

コンピュータ関連ではいろいろ無理な日本語化や カタカナでもちょっと意味がズレた表現が他にもある

例えばホームページ

本来はウェブサイトのトップインデックスが置いてあるページを「ホームページ」と呼ぶものだと思うが いつの間にかウェブサイトのページを区別無く「ホームページ」 と言うようになってしまった
私も相手の知識レベルに合わせて本来はホームページじゃないウェブサイトのことを「ホームページ」と表現することはあるが そのときは背中がムズムズするのを我慢してる状態である

逆に実際には利用していながらも言葉が浸透していない「ブラウザ」とかの例もある
ウェブサイトを閲覧するためには必須のブラウザが 言葉が浸透していないせいで 「インターネットエクスプローラを立ち上げて……え?!アイコンがない??」
「あ インターネットって書いてあるアイコンです」 とか 「サファリを立ち上げて」とか 相手の状況を想像するエスパー回答をしなくてはならないケースがあって 「ブラウザを立ち上げてください」の一言で済めばどんなに楽だろうと思ったことは多々あるのだ

ちなみに「ソフトを立ち上げて」と伝えても本人が立ち上がったりしないことは確認済みなのが前提だが……

そういえばコンピュータ関連ではないが マスコミがちょっと曲がった呼び方をしてるものに「ドローン」があった
おそらくテレビでドローンを知った多くの人は ラジコンヘリのことをドローンを思っているだろう
本来のドローンは「自立航行できる機械」の意味で形状は関係ないはずだが 4枚羽のラジコンヘリをそう呼ぶようになってしまった流れは修正されそうにない
アニメ「サイコパス」に出てきた警官ドローンのようなものが本当に出てきたとしたら何と呼ぶつもりなのか今から楽しみではある

それにしても今まで一般的じゃなかったものが登場して話題になったときにマスコミが斜め上の名前を付ける慣習はこれからも続くのだろうか
普通にそのまま本来の名称をカタカナで紹介したほうが 興味を持った人にとっても情報を得やすくなると思う

とりあえず「匿名化ソフト」なる変な言葉は浸透して欲しくない
もしクリミナル・マインドやCSI:サイバーのようなサスペンスで「匿名化ソフト」なんて台詞が出てきたら口を開けたまま放心してしまうかもしれない


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