S2000(AP1)の加速

先日「加速」について投稿してから思いついたのだが S2000のゼロ発進加速については時々議論になる

誰かが「S2000(AP1)は発進加速がイマイチで 普通のクルマにも負ける」的なことを書くと すぐに「それは下手なだけ」といった反論が書き込まれる
他のクルマの話題なら前者がアンチの書き込みで後者がオーナーの書き込みに思えるが AP1に関しては逆だと感じる

S2000の2リッター版(AP1)のカタログデータはNA2リッターで250psのパワーがあり 許容回転数は市販車最高レベルの9000回転
こんな数値が並んでいると とんでもない加速をするイメージを持ってしまうが 実はそうでもない

ゼロ発進があまり得意でないクルマだということは オーナーなら感じていると思う
走り出してからの中間加速や コーナーからの立ち上がり加速ならばデータに近い体感は得られるが 街中での信号スタートではうっかりすると普通のミニバンにも後れを取ってしまう

まず 9000回転まで回る高回転型エンジンなので低速トルクはちょっと細い
スカスカというほどではないが 昨今のフラットトルクなクルマに比べたら扱いにくいエンジンになるだろう

そして1−4速がクロス気味なミッションは 相対的に1速が高い
つまりある程度回さないと元気に飛び出すような加速にならない

そこにきてノーマルECUでは1500回転あたりにぐずつくところがあり 発進するときにそこにハマると回転が上がりにくくて飛び出せないということがある

もちろん3500〜4000回転ぐらいを保って半クラッチを長めに引きずればスパッと飛び出すような発進は可能だが 街中での信号スタートではそこまで必死になることは少ないだろう
発進の度に爆音を響かせていたら周りからはすごく必死な人に見えてしまうし……

こんな風にゼロ発進が苦手な要素は複数重なっているのだが これは実際に体験してみないと分からないだろうと思う

ただこの発進加速が苦手になってしまう特性は 街中でこそ不便だが 峠道などを走っているときはむしろ利点になる

例えば1-4速がクロス気味なミッションはレスポンスが良いエンジンと相まってシフトチェンジが楽しいし タイトコーナーで1速まで落とせるのは扱いやすさになる
大抵のGTカーなどは1速が低いので 発進加速は楽にスピードが出る扱いやすさはあっても 普通に走っていて1速までシフトダウンするとギヤが低すぎて実用に耐えない場合が多い
私はそういうクルマでも1速までシフトダウンする運転をしていたが 回転合わせはかなり神経を使っていた記憶がある
それがS2000では3-2と2-1を同じような感覚でシフトダウンすることができて すごく楽になったと感じている

個人的に S2000は街中ではおとなしく走り 山道などでは回転を上げ気味で楽しくという風に乗るのが最良だと思っている
だから発進加速でもたつくことがあっても気にしないようにしているのだが 空いてる道の信号で先頭になったりすると少々アクセルを踏んでしまったりするのはご愛敬ということで……

加速というもの

またクルマの話題で恐縮至極

運転技術が伸び盛りの頃は コーナリングがどうとかブレーキングがどうとかライン取りがどうとか いろいろと考えながら走っていた

速度をあまり落とさないでコーナーに突っ込んだ方が良いのか?とか コーナリング中のハンドル操作はこんな感じが良いのか?とか 実践しながら考えることはたくさんあって それが走る楽しみになっていたのだと思うが いろんなことを考えすぎてだんだんと思考の泥沼にハマっていることもあった

そんなときにあるレーシングライダーの本を読んだのがきっかけで とてもシンプルな考え方に整理することができた
読んだのは当時のGPライダー片山敬済氏の2輪テクニックについて書かれた本……だったと思う
(さすがに古すぎてタイトルまでは覚えていない)

その中の記述で「レースは結局 加速競争なのだ」というのがとても刺さったのだ

もちろん公道を走るのとレースのテクニックは直結しないが コーナリングについてあれこれ悩んでいたのが
「減速もコーナリングもライン取りも 結局は加速のための下準備」
という風に考えることで 考え方に方向性が出来たという感じだろうか

加速と言ってもコーナーを抜ける度にフル加速をするという意味ではなく コーナーを抜けた状態でいつでも加速可能な安定状態に持って行くというイメージが近いと思う

安定して加速可能な状態でコーナーを抜けるためにはコーナー手前で充分に減速する必要があるし コーナリング中も前方がよく見えるライン取りをして 駆動輪が路面をきちんと掴む状況を作る必要がある

これが結果として安全で速い走りにつながっていくと思っているのだ

と いろいろ書いてはみたが やっぱりクルマの挙動について文章で表現するのは難しい
感覚的なものもそれぞれ違うだろうし
速い走り……という表現もスピード感覚もみんな違うだろうし 安全認識とか語り始めたらきりがない

まあ 方向性を定めると思考の泥沼から抜けられることもあるという一例ということで〆ておこう

GTウイング幅調整完了

先日ヤフオクで購入したVOLTEXのGTウイングは 幅が1450mm(実測では1440mm)だったので車検に通らない
車検に通るのは車幅から330mmを引いた1420mm以下なので 思い切って幅調整をしてみることにした

最初に完成の感想を書いておくが ワンルームマンションの一室でやるべき作業ではなかった……

それなりの広さの作業場があれば良いのだが ワンルームマンションでも風呂場ならなんとかなるだろうと考えて作業を始めたのだが 音が響くことを考えると電動工具は使いづらい
また 電動工具で万が一でも浴槽に傷を付けたりしたら面倒なことになる

それで今回は手動のパイプソーを使うことにした

選んだのはAmazonで売ってる「PARKTOOL(パークツール) ハクソー SAW-1」とカーボン用の替え刃

問題はウイングをどこで切るかと翼端板の取り付け方法をどうするか

翼端板は片側あたり3カ所をM3.5のビスで固定されているので できればオリジナルのねじ穴を利用したい

そこでウイングの端から約12mmを切り落とすことにした

実際にノコギリで切り始めると 切っていると言うよりは削っている感覚に近くて 思ったより時間がかかった
片側で約1時間 合計で2時間ほどかかって切断完了

切り落としたネジ部分は思いの外しっかりとしていて 翼端板をネジ止めするのには充分なようだ

しかし 切断後に翼端板を仮合わせしてみると真っ直ぐに取り付かない

いろいろな方法を駆使して角度や寸法を測ってみると最初の罫書きで失敗していることが分かったので 再度罫書きをして左右を5mmほど切断した

そして最初に切り落としたネジの付いている端部分の外側を削り落として ウイングの空洞にすっぽりハマるように調整
最後は補修用のFRPパテで固めて完了

最終的にウイング幅は翼端板を付けた状態で1405mmとなり無事に車検対応のサイズとなった

しかし やはり手動工具で切断したせいか翼端板とウイングとの隙間が目立つので 最後はブラックシーラーで隙間を埋めてみた

これが思いの外きれいに仕上がったので やっとクルマに取り付けることができたのだった

実際にウイング幅の調整をやってみて思ったのだが よほど立派な工具と作業場を用意できる場合を除いて メーカーに任せるのが良い

どうしても自分でやるという場合は カーボンの切り粉が身体に悪いので防塵マスクとゴム手袋は必須だ
また罫書きを精密にやらないと失敗するので 大きめの作業台はあった方が良い

翼端板がしっかりとくっついているか心配だったが ウイングを取り付けた後にアスファルトが荒れ気味の道路を小一時間ほど走ってみても翼端板がガタつく気配もないのでまず問題はないだろう

あとはフロントに適当なリップスポイラーを付けて空力改善を完成させたいが なかなか気に入ったデザインのものが見つけられない
格好良さだけで考えるとバンパーごと取り換えるものなら気に入ったのがあるのだが そういったものはFRP製になるのでちょっとした段差で割れたりする心配がある
また近い将来に岩手の実家に引っ込むことになりそうなので 雪道でラッセル車化するのも困る

何はともあれ リアはとりあえず安定したので フロントはゆっくり考えることにしよう