AP1を買うとしたら

S2000はフルモデルチェンジを行わないまま2009年9月に終息を迎えたが エンジン形式で前期後期に分けられている
2リッターエンジンのAP1型と 2.2リッターエンジンのAP2型だ

AP1とAP2を比較した場合は 外観や内装に大きな違いはないが操作性がかなり違うと言われる
しかし私自身はAP2を運転したことがないし チューニングやリフレッシュのポイントについてもあまり詳しくないので AP2については語ることができない

だがAP1については2015年の9月に購入してからいろいろ調べて詳しくなってしまったので もし興味があって購入を検討している人がいたとしたら ちょっとぐらいは参考になるかな……という程度の情報は提供できると思いメモ的に書いてみる

S2000のAP1型は細かいバージョンアップが頻繁に行われている

一覧にすると

  • AP1-100 (1999年4月-2000年3月)
    S2000の最初期型で最もピーキーな操作性と言われているモデル
    車体も軽く 真のアルティメットと呼ばれる

  • AP1-110(2000年4月-2001年8月)
    最初期型に小変更を行ったモデル
    2000年7月からVGSという可変ステアリングシステムを搭載した「タイプV」が追加された

  • AP1-120(2001年9月-2003年8月)
    最初期型の最終形
    幌のリアスクリーンがガラスになったのはこの型から
    またアンサーバックも付いた
    スタビライザーが柔らかくなっている
    また2002年10月に特別仕様のジオーレが発売されている

  • AP1-130,135,200(2003年10月-2005年9月)
    AP1のエンジン仕様はそのままに 前後のバンパーやライトのデザインが変更された
    また足回りもサブフレームから形式が変更され ピーキーさはだいぶ緩和された
    耐久性も向上している模様
    その変更はそのままAP2でも引き継がれている
    AP1-135までは高根沢工場製でAP1-200以降は鈴鹿工場製

以上がマイナーチェンジの一覧になる

中古市場を見ていると 最近はAP1の出物も減ってきているように思う
同じような走行距離や状態のもので言うと AP1-100〜120の最初期型は安めで AP1-130以降は高めという印象
販売からの年数を考えると妥当だとは思うが AP1-130以降の低走行ものは 同年代の他の車種に比べて割高かもしれない

今AP1の購入を考えるとしたら最初期型(100〜120型)で適当なものを買って 購入後にリフレッシュをするか 130型以降の良物件を買ってそのまま乗るかが選択肢として考えられるだろう
もちろん潤沢に予算があるなら低走行で保管の良かったものを探すのが良いだろうが タマ数が少ないので難しいだろう

それにAP1だといちばん新しい物を狙ったとしても既に11年前の車両なので 走行距離に関係なく多くの部品が劣化していることも考えられる

そこで問題になるのが「完全ノーマル」を狙うのか それなりに手が加えてある物も候補に入れるのかという判断

ノーマルの場合でもチューンドの場合でも 部品交換の記録はちゃんと残っていることが望ましい

完全ノーマルを売りにしている車両でも S2000用の社外部品は有名どころなら高めにさばけるので 車両売却時に中古のノーマル品を調達して戻しているという可能性もある
(ヤフオクあたりをざっと眺めているとそんな事情が透けて見える)

それにS2000のノーマルシートはとても褒められたものじゃ無いので 後々レカロやブリッドあたりに換えたくなると思う
そう考えると中古車では敬遠されがちな車外シートに換えてある車両も 座り心地に問題が無ければ候補にして問題ないだろう
とはいえ 車検を考えるとレカロかブリッドになるだろうが

足回りに関しては ノーマルダンパーが新しめなら問題ないが ヘタっているとけっこう危険な挙動を起こす車なので ノーマルにこだわりすぎると外れを引く可能性もある
ある程度以上の車高調が入っている方がノーマルより乗り心地も操作性も良くなることも多いので 社外品のダンパーが入っているものも候補にして問題ないと思う
定番の有名どころではオーリンズやビルシュタインあたりか
ただし 車高調ダンパーの多くは3〜4万キロでオーバーホールが必要になるものなので 交換やオーバーホールの記録があるものを選びたいところ

エンジンに関しては 油脂類や冷却関係のメンテさえしっかりやっていればけっこう丈夫なので 走行距離はあまり気にしなくていいと思う
もちろんオーバーホールの記録が残っているならそれも良い

ブレーキはノーマルの見た目がプアなので今どきの派手なキャリパーに換えたくなるが 性能的にはノーマルで充分
ローターがヘタっている場合はパッド交換のタイミングで同時にリフレッシュした方がいいだろう

クラッチはディスクだけの交換で済ませてしまうとトラブルや感触悪化の元なので クラッチラインからディスク周り一式の交換でやっているものが理想
ディスクだけの交換なら費用も安いが クラッチ関連一式だとそれなりの金額が必要なので クラッチの感触が悪い車両は避けた方が良いだろう
もちろん 他の要素がほぼ満足できるのにクラッチだけが……という場合は 交換すれば済む話なので ケースバイケースだが

それから 試乗でも分かり難いのがサスペンションブッシュのヘタり
サスペンションブッシュがヘタっていると普通に走っていてもガタピシと音がするし挙動もおかしいのだが S2000は普通にいろんな音が聞こえてくる車なので 慣れてる人じゃないと気づかないだろう
せっかくハンドリングを楽しむ車を買うのに 足回りがちゃんとしてないと楽しみよりも不安の方が大きくなって楽しめない(経験談)ので できれば購入時に交換したかどうかの履歴が確認できると良いだろう

タイヤに関しては 後輪が前輪の半分ぐらいしか保たないので 溝をチェックするのは後輪が中心
減っていると思ったら交換も交渉してみた方が良い
ホイールについてはオフセットに注意
ツライチを狙いすぎてギリギリアウト!というものを装着してある中古車も珍しくない

ボディに関しては ドアを開けたところにある「サイドシルの塗装割れ」をチェック
これが発生していると修理が大変らしい
この実例についてはネットに情報がいろいろあるので「S2000 サイドシル 塗装割れ」あたりで検索してみてほしい

幌については 穴さえ開いていなければ大丈夫
交換後の幌が社外品であったとしても問題ないと思う
装着のフィット感は純正品の方が上だが 生地の質感は社外品の方が上と言われているので ぱっと見で判断して問題ないだろう

駆動系に関しては 試乗でミッションに嫌な感触がなければ問題ないのだが 初めてS2000を運転した場合は感触が良いかどうかの判断ができないかもしれない
というのも S2000のマニュアルミッションは超が付くほどのショートストロークで ギヤチェンジの際に手に歯車の感触を感じるような ちょっと形容しがたいフィーリングがあるのだ
初めてだとちょっとビックリするだろう

ただデフに関しては注意が必要

機械式LSDに交換されていることも多いし ノーマルでもデフオイルの交換がちゃんと行われてないケースもある
納車前にはミッションとデフのオイルは純正新品に交換してもらうようにした方が良いだろう
ノーマルデフなら純正オイルで ミッションも基本的に純正が良い
ただし 店がS2000に詳しくて 良いオイルをサービスしてくれたのならその方が良い

エンジンオイルは100%化学合成の良いものを
納車時に交換してもらおう

それ以外には普通に中古車を買う場合に注意する点は切りがないので省略する

S2000の最初期型で走行距離が10万キロを超えているようなものだと 今なら100〜150万ぐらいで買えてしまうので けっこう気楽に乗れると思ってしまうが 元々は16〜7年前で350万もした高級スポーツカーだということは意識しておいた方が良い
オイル類の値段や部品交換の工賃も高めだし 維持費もちょっと高め
リフレッシュとなると部品の供給が終わっているものもあり 普通のスポーティカーを維持するよりちょっと面倒かもしれないと思った
買ったままでそのままトラブルがないのが理想だが 製造年月から考えていろいろ修理や調整は必要になる
購入金額ギリギリの予算で維持するのはちょっと難しいかもしれないということは考慮しておいた方が良いだろう


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)