温泉マークを変更する動きがあるとか
日本人には馴染み深い温泉マークが「外国人には分かり難い」という理由で国際的に通用するタイプに変更するのだとか
理由は分からないでもないが それで良いのだろうか?
だったらそもそも外国人旅行者にとって 観光地の日本語はさっぱり分からないだろうし 日本の観光地によくある「暗黙のルール」等は理解しがたいものだろう
でも 温泉マークが分かり難いからといって旅行は楽しめないのだろうか
そりゃ誤解からくる小さなミスはあるだろう
テレビのインタビューに答えていた外国人旅行者は「温かい飲み物から湯気が出ている様子に見える」とか言っていたので 日本風のカフェだと思って入ったら温泉だった……なんて間違いはあるかもしれないが それはむしろ旅の笑えるお土産話になるようなミスで 命に関わるような重大な問題は起きそうにない
それよりも日本人に長い間馴染んできた温泉マークを外国人旅行者に分かりやすくという理由だけで変えるというのは 日本人の文化というか正体みたいなものを捨ててしまう行為に思えてしまう
これまでも 欧米人の日本人に対するイメージというのは明確なものが無さそうに思えている
海外ドラマなどで日本を舞台にしたり日本から輸入された文化が けっこうとんでもない表現をされているのを見てモヤモヤすることも多いが これって日本人の気質みたいなものが伝わってないのが原因で「日本人はこんな感じ」っていうのがイメージされてないんじゃないかと思う
日本人が作ったものは 家電や自動車に限らず 寿司とか最近ではラーメンも海外進出して評判を得ているようだが それを作った日本人はどんな気質なのかと問われて ハッキリ答えられる欧米人は少ないんじゃないかと思う
日本製の家電や自動車が世界に浸透していったのは 品質の高さや価格の安さの他に 販売ターゲットにした国の生活習慣を研究して使いやすさを追求していった結果だと聞いている
2020年の東京オリンピックを招致したときの「お・も・て・な・し」だって「相手に合わせた接待」という日本人らしい気配り(悪く言えば媚び)を表したものだろう
そう考えると外国人旅行者に合わせて温泉マークを変えるというのも 日本人らしい気配りの現れと言えなくもないのだが……
でも本当にそれでいいのか?と思ってしまう
例えば旅行に行った先で特に不満に思うこともなく トラブルが起こることもなく 全てが滞りなく進行したとしよう
旅行中は至極快適で それなりのお土産も買いそろえて無事に帰宅できたとしよう
しかしこれ……帰宅した翌日には思い出がきれいさっぱり消えてしまうんじゃないだろうか
自分の行動に迎合されつくした場所だと“新鮮な驚き”は無いだろうし 後から笑える程度の苦労話も無いのでは思い出に残らない気がする
だからわざわざ外国から遊びに来てくれた人たちに「日本の場合はこうなんだ へぇ~!」と思ってもらえる日本らしいものは残していくべきなんじゃないかと思ったのだ