プログラマーという幻想

小学校でのプログラミング教育を必修化の動きがあるとか……

親たちのアンケートでは約半数が賛成だとか?!

その親たちが理想とするエンジニアは「スティーブ・ジョブズ」「松下幸之助」「ビル・ゲイツ」だとか?
……これはツッコミ入れておきたいところだが それは後ほど

そしてその親たちは 過半数が子供が将来プログラマーやITエンジニアになってほしいと願っているとか……

この親たちが思うプログラマーってどんなのだろうと考えてみると 難しいIT用語をペラペラとしゃべりながらキーボードをカチャカチャとタッチタイプしているような ハリウッド映画に出てくるハッカーのイメージなんじゃないかと思えてきた
それなら標準的な配置のキーボードを用意してタイピング練習ソフトでも使えば一週間程度で立派な「ハッカーっぽい人」が出来上がる
メモ帳ソフトにテキトーな雑誌記事でも打ち込んで エンターキーを「ッターン!!」と叩けば ますますそれっぽい

あまりコンピュータに詳しくない人からすると SEもプログラマーもCGデザイナーもデータ入力のオペレーターも 同じように見えるらしいので キーボードやマウスを使って仕事をこなしている人全般を「プログラマー」と思っているのではないか?などと思ったりもする

それはともかく

普通に考えて 現在の小学生が就職を考える頃の将来でも コンピュータ業界でプログラマー不足が続くとは考えられないのだが 文科省あたりは「現時点で不足しているのだから今から人材を用意しておこう」という目論見らしい

ただ 経験者から言わせてもらえば コンピュータの基本動作さえ理解していれば プログラミングなんて3ヶ月程度の研修で出来るようにはなるから 小学生の頃に無理して覚える必要は全くない
しかも プログラマーには明確に向き不向き(つまり適性)があって 向いてない人だといくら頑張っても習得が厳しいという側面もあるので 義務教育向きじゃないと思う

このプログラマーの適性については 学業の能力とはあまり関係がないので プログラミングが出来る出来ないで差別されるものでもない
一説には統計的に約半数が向いてないとか言われている

音楽や外国語と違って プログラミングなんて子供の頃からやらなきゃいけないという要素が全然ないと思うので 小学校の必修科目には入れない方がいいと思うのだが……

だいたいにして現在プログラマーが不足していると言われるのは 汎用大型コンピュータで運用しているシステムを 今どきのシステムに移行するための人材が不足しているとか 増え続けるWebサイトやスマホアプリの開発需要があるという 現時点でのIT事情からであって 10数年後もこの状態が続くようならプログラミング環境の技術がまるで進歩しないってことになる

さすがにそこまで技術が進まないほど人類はバカではないと思うのだがどうだろう

最初に書いた親たちが理想とするエンジニアは どの人もその業界の黎明期に将来性を見出して 理想を追い求めた人物だ
既に成熟しているコンピュータの世界では とんでもない才覚があったとしても今から大成するのは難しいだろう
生活費を得るための職業としてはこの先も割と安定しているだろうが 仮にいまスティーブ・ジョブズと同じような才覚を持った人がいたとして ITエンジニアを目指すだろうか?

おそらく 今は誰にも注目されていないけど将来性を感じるようなものの発展に全力をあげていくのではないだろうか

その将来性を見出すためには いろいろなことに興味を持って 面白いと思ったら全力で取り組める感性が必要だろう

だから親たちは子供に学習課題を増やしていくことばかり考えず 自由な発想や好奇心を育てることに注力してほしいものだと思う