アライメントの話

S2000はホイールアライメント(以下 アライメント)の変化に敏感なクルマだと思う

ホイールアライメント(Wheel Alignment、正しい読みは「ホイール・アラインメント」)は、自動車のホイールの整列具合のこと。サスペンションやステアリングのシステムを構成するそれぞれの部品が、どのような角度関係で自動車に取り付けられているかを示すものである。キャスター角・キャンバー角・キングピン傾角・トーイン&トーアウトの4つの要素からなる。

Wikipediaより

S2000の場合 操作に大きく影響するのは「キャンバー角」「トー」「キャスター角」だろう
ショップに頼む場合でも この3つを指定するのが一般的だと思う

その標準値は以下の通り
前輪
トータルトー +00度00分 許容範囲±00度10分
キャンバー角 -00度30分 許容範囲±00度30分
キャスター角 +06度00分 許容範囲±00度30分
後輪
トータルトー +00度30分 許容範囲±00度10分
キャンバー角 -01度30分 許容範囲±00度30分

トーについては ミリで指定した方が理解されやすいので タイヤ外径を仮に630mmとした場合に
後輪のトータルトー: +00度30分 ≒ 5.5mm となる
許容範囲を考えると +00度20分~+00度40分 ≒ 3.7mm~7.3mm となるが 実際の作業でミリ単位の小数点以下は調整できないと思うので 4mm~7mmと考えた方が良いだろう
さらに言えば 左右それぞれを調整するので 片側3.5mmも難しく トータルで4mmか6mmにするのが現実的だろう

トーを調整した場合の変化についてだが その話の前にキャンバー角について書いておこう

キャンバー角は標準値の範囲から言えば
前輪:0~-01度00分
後輪:-01度00分~-02度00分

前輪に対して後輪を1度寝かせた状態が良いらしい(とあるショップで聞いた話)

前輪のキャンバー角を寝かせる(ネガティブキャンバー)と ステアリングの反応が鋭くなる
後輪のキャンバー角を寝かせると コーナーリングでロールしたときの粘りが良くなる という風に覚えておいて問題ない

そうなると前輪はできるだけ寝かせた方が良いのか……という話になるのだが 普段使いで考えると-02度00分あたりが上限ではないかと思う
あまりにステアリングの反応が鋭くなると 道路のうねり程度でもステアリングを持って行かれるようになって非常に疲れる操作性になる
そしてその操作性にはトータルトーも絡んでくる
トータルトーが00度00分( 0.0mm )のままキャンバーを-01度30分ぐらい付けると 峠の下りなどではステアリングを切っただけフロントタイヤが反応してくれて楽しいが 高速道路の巡航等ではけっこう疲れる操作性になる
そこでトータルトーを-00度05分程度(トーアウト)にすることで ステアリングの切り始めがちょっとだけダルになり巡航は楽になる
トーアウトにしても コーナーリングで必要なぐらいにステアリングを切ればちゃんと反応してくれるので問題ない

後輪のキャンバー角は前述の通り 好みの前輪の角度から1度寝かせるのが良いと思う

後輪の場合 キャンバー角よりもトータルトーが操作性というか乗り味に大きく影響する

標準値のところで書いたが 後輪のトータルトーが6mmというのはかなり大きい方で これがS2000の特徴にもなっていると思う
ここら辺については ストロークが短くてロール時に変化が大きい足回りの問題をなんとか解決しようとしたものらしいが ややこしい話になるのでここでは触れないでおこう

実際の経験で言うと 私はちょっとした遊び心で後輪のトータルトーを1mmトーインにしてみたことがある

これは標準値からするとほとんどトーゼロに近いものだが クルマが変わったのかと思うぐらいに操作性が変化した

具体的にはS2000のいわゆる「オンザレール」感は失われて 交差点を曲がる程度のスピードでもリアが出ようとする
実際にはタイヤのグリップを超える程の負荷はかかってないので滑らないのだが 常にリアのトラクションを意識していないといけない状態と言ったらいいだろうか
直進でもなんだか落ち着かないので 小一時間も運転していると非常に疲れる操作性になってしまった

現在は後輪のトータルトーを4mm(≒+00度20分)に調整して S2000らしい走りを取り戻している

S2000のアライメントについてネットを検索していると 普段使いの人でアライメントに気を配っている人が少ないせいか サーキット向きの設定が目についてしまう
サーキットの場合はタイヤサイズも違うし そもそも目的が違うので値そのままを参考にするのは危険だろうと思った

結局は標準値から大きく外さずに 不満が出てきてから詳しいショップで相談に乗ってもらうのが良いと思う

キャスター角について触れていなかったが キャスター角が影響するのは主にステアリングの戻り特性
つまり コーナーを曲がりきって手を離してステアリングが自然に直進位置に戻ってくるかどうかの違いなのだが キャスター角が立っているとステアリングは戻りにくくなる
私の場合はステアリングを自分で戻す運転をしているので 実は違いが分からなかったりする
ステアリングの戻りをクルマ任せにしている人はこだわった方がいいのかもしれない

ちなみに私のS2000の設定値は以下の通り

前輪
トータルトー -00度05分(約 1mmトーアウト)
キャンバー角 -01度00分
キャスター角 +06度00分
後輪
トータルトー +00度20分(約 4mmトーイン)
キャンバー角 -02度00分

このキャンバー角で 見た目はこんな感じになる
S2000フロントビュー
真正面から見るとタイヤがいわゆる「ハの字」になっているのは分かるのだが 言われないと気づかないレベル

現在 前輪をトーアウトにしている影響でちょっとダルな反応になっているが 1mmのトーアウトならキャンバー角は2度程度にしても良さそうで そうなると後輪は3度あたりにしてバランスを取りたい

それもちょっと良いかなと考えている


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