オーディオを変えるもの

数年前からヘッドホンオーディオに凝っている
ヘッドホンオーディオについては別に細かく書いていこうと思うので 私が昔経験したオーディオ体験について書いてみよう

私のオーディオ体験は中学生の頃から始まっているが 音に対する考え方が大きく変わったのは高校生時代
中学の時は音楽を聴くだけだったのだが 高校から楽器を始めるようになって 同じ音楽でも聴こえ方が違ってきた

高校からギターを始めたのだが そうなると音楽を聴く場合にはギターに聴覚を奪われるようになった
もちろん弾きたい曲の場合はそれでいいのだが どんな音楽を聴いてもギターばかり気になってしまうので 音楽鑑賞用に買うレコードはギターの入っていないジャズのピアノトリオとかカルテットとかになったぐらい

そしてバンドを始めたり部活でブラスバンドに入ったりしてるうちに 今度はリズム楽器が耳に入ってくるようになってくる

これは音楽を聴く一方だった頃とは全く違う感覚で 音が良いとか悪いとかよりも演奏が良いとか悪いとかの方が重要になる
音質についても 特定の音が聴こえるとか聴こえないとかよりも ホールの響きとか余韻とかの音質の方が気になったりする

私は楽器を演奏しなくなってから既に20年以上たっていて 今ではギターをまともに弾くこともできないと思うが 音に対する考え方感じ方はその当時の体験に基づいていて今もあまり変わってないと思う

オーディオ的な事で言えば好きな音楽を好きな音質で聴けていればそれが最良と思うが 楽器演奏を始めてみたり あるいは特に好きな楽器を想定してみたりすると それまでとは聴こえる音が違ってくると思う
楽器演奏について言えば 特に上手くなる必要はなくて 実際に音が出た時の指に感じる振動だとか 部屋に響く音だとか余韻だとかを感じ取れれば 聴く一方だったときとはまた別の体験ができると思うのだ

音質の事で思い出したことがある

高校を卒業するあたりだったと思うが よく行っていたオーディオ専門店が閉店セールをやっていて いつもだったらとても買えないレコード用のカートリッジが手に届く値段で買うことができた
大昔のことなので記憶は曖昧だが 通常価格3万5千円ぐらいのカートリッジが2万円弱で買えたと思う

そのカートリッジを自宅のレコードプレーヤーに取り付けて 実際に音を出した時の体験

取り替える前のカートリッジは1万5千円ぐらいのものだったと思うが それでも特に不満のない音を出してくれていた
でも 交換後の音でいちばん驚いたのがドラムのシンバルの音

バンドをやっていた関係で シンバルはまずスティックがシンバル自体に当たるカチッという小さな音の後にジャーン!というシンバル特有の音が聴こえるのだが レコードでそのカチッという音は聴こえなかったので 録音には入っていないのだと思っていた

だが 取り替えたカートリッジではそのカチッという音がちゃんと聴こえた

この音は本当に微かな音で 最近の音楽で多く使われているサンプリング音源のドラムマシーンではまず聴こえない音だが 生演奏のドラムセットなら腕前に関係なく聞こえてくる音なのだ

それが聞こえた瞬間の感動は今でも忘れられない
背中がゾワッとしたぐらいだったからね

でもこれはいつも目の前でドラムセットの音を聴いていたからこその体験で 私が聴く一方の人間だったら一生気付かなかったかもしれない

これは何も楽器演奏をしている人が聴き専の人よりも優れているとか言いたいわけじゃなくて 楽器演奏を経験すると音楽の楽しみ方がちょっとだけ広がるかもしれない ということを分かってもらいたかったのだ


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